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池袋界隈にて


かつては三越 丸物 などというデパートがあり
全盛期は西武百貨店が主流の池袋東口
久しぶりに行ったら 西武百貨店がヨドバシに
売却してからレストラン街など少数しか
まだ稼働していなくて寂しい気がした。


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そんな中サンシャイン近くのシアターで演劇を拝見
[Bye-Bye My Last Cut]
余命宣告をされた40才の映画監督が
その間の自分をドキュメンタリーにして
最後の作品として撮り続けるという・・・・・。

哀しいが観客のこちらまでが音楽と共に
感情移入させられて そして最後になんだか
勇気をもらえる作品だった。


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友人のお嬢さん 西郷真悠子さんも好演されていて
プロフィールの中で 人生最後に観たい映画に
お父様とみられた「寅さん」をあげられていて納得!

 寅さんというか 渥美清さん そして西田敏行さんの
ように人を楽しませその場の雰囲気をいつも和ませて
くださる父上であったことを彷彿とさせてくれた。

私は人生最後に観たいのは「ローマの休日」113.png


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真悠子さんの母上と久しぶりに池袋パルコで
銀座三笠会館でのランチ

ここはカレーライスがお気に入りだが
この日はがっつりハンバーグをいただいて
元気をつける

観劇のあとは感想を話したくて
懐かしい「タカセ」でケーキセットを
私は大好きなサバランを食べた


小説「仁淀川に帰す」は
第三章その3です
お読みくださって本当に
感謝します。

お時間ありましたらmoreへ
よろしくお願いします。







 その3 家を持つ


 東京の家は今まで伸びやかに過ごしていた時と違って

 他所の家族に迷惑をかけないように、声をひそめさせる場面があり、

 

 幼い亜実が「おかあちゃん、ア~~って言ってもいい?」

などと許可を得るのがかわいそうだとしのぶは感じていた。


夫の孝之はその頃許されていた家庭教師をして東京での暮しを

少しでも楽にできるように頑張っていたので帰宅が11時頃に

なることも多かったのだ。


切り詰めた暮しをしながら孝之としのぶはこの東京に家を

建てようとしていた。

20代で東京の23区内に一戸建てを持つというのは無謀な夢だが

若さはそれを現実化する力があった。


元より高知を後にしているのだから親にも助けは求められない。

だが しのぶの母だけは全てを察知して少しの援助を申し出てくれた。

そのかねは、いずれ自分もその家に遊びに来させてほしいという

素朴な願いが込められていた。

住宅公庫の人の指導も親切で 文字通り猫の額のような庭のある

30坪ほどの土地を借地して二間だけの小さな家を持つことができた。


まわりは畑と牧場も見えて今ではその面影すらないが、

東京都下という感じの場所であった。

何より気に入ったのは公立の小中学校が近いことであった。

やっとの思いで出来上がった家の中で亜実が大喜びで駆け回った

ことが夫婦の喜びだった。

そして直に、かねが大きな荷物を持って遊びに上京してくれた。

かねは池袋がたいそう気に入って以来一年に一度上京し

家族を喜ばせてくれた。

日頃高知の神社の仕事で忙しいかねの唯一の憩いのひとときが

そこにあったようだ。


by akageno-ann | 2024-11-07 08:31 | エッセ- | Trackback