人気ブログランキング | 話題のタグを見る

故郷に帰る



神社にて生まれた
保護猫こいこいです



故郷に帰る_c0155326_19012498.jpg

ふるさと高知での秋祭りです

急に寒くなりましたが 
高知はやはり南国

暖かくてたすかります。


故郷に帰る_c0155326_19024252.jpg


日本の今は石川県能登半島への
復興の思いを込めて祈ります



故郷に帰る_c0155326_15502384.jpg


皆様の健康とお幸せを
心より祈りつつ
お手伝いしています


にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ


小説「仁淀川に帰す
第三章その10です






 その10 アンミ故郷に帰る 

 亜実は自分のことをアンミというので、

みんなからも愛称のようにそう呼ばれていた

あの頃の東京の23区内でも豆腐屋さんは毎日のように

自転車で売りにくるし魚屋さんも 酒屋さんも 米屋さんも 

御用聞きがあり、そして夕方までには確実に運んでくれていた。

米は確か配給制で、米屋さんで米穀通帳があった。



日本人の主食は米であり、米びつと 釜と おひつが各家庭にあって

毎日家族構成によって量は違うのだが、ご飯を炊くのが普通のようだった。

豆腐屋の常陸屋さんのお兄ちゃんが

「アンミちゃん」と亜実を可愛がってくれて

必ず豆腐と油揚げをしのぶは買っていた。

魚は近くの魚正さんは少し高いのだが 海のある高知は魚が新鮮で

鰹よりマグロが一般的な都会の食に合わせて刺身を買ったりした。

刺身は贅沢品でも夫も亜実も大好きなのだった

ある日来客が4人ある、との連絡で夫の孝之の分と

5人前の刺身の盛り合わせをテーブルに並べて置いておいたら、

亜実は大好きなマグロの刺身をつまみ食いしていた。


困ったしのぶは「亜実ちゃんだめじゃない」と言いながら

つまみ食いされた器を苦心して整え、それほど亜実が

刺身が好物になっていたことに苦笑した。


狭い三畳ほどの台所でしのぶは丁寧に料理していた。

高知の時代から来客には慣れていたのでそれも一つの楽しみだった。

夏休みを間近に控えて 孝之たちは3人で初めての帰郷を計画した。

寝台車の瀬戸号と 宇高連絡船 そして土讃線に乗り継ぎ

ながら3年ぶりのお里帰り、しのぶの身体も元気になり、


高知では皆がその日を待ち望んでいた。


    いつもお読みいただきありがとうございます。

      第三章はここで終了し 次回は第4章に入ります




by akageno-ann | 2024-11-22 08:18 | エッセ- | Trackback