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師走となりて



43才で亡くなった先代の禰宜は私の従弟で
神社の宮司になるべく修行中に
病にて早逝しました

実に優しく男らしい人でした。

彼の誕生日が12月25日
神社に奉職しながらクリスマスの
生まれ、と笑っていたのを
この時期になると思い出します


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1年のこの時期だけのクリスマスの飾り付け
今年もごそごそと箱から出しました。

そういえば先日の土佐の神社の
祭りの行列の持ち物も

年一回蔵から出して
祭りの翌日にはまた丁寧に
ほこりを落としてしまうのです。




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天候に恵まれると皆で
ホッとします、小雨が降っても
全ての道具にビニールをかけ
大雨でない限り行列(おなばれ)は
行われます。

今年もたくさんのカメラマンが
プロアマ問わずいらしてくださいました。




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私の役割もかつては行列に加わっていましたが

今は神社の社務所に残り


お札やお守りをお授けする役です。



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小説「仁淀川に帰す」の
第4章 その1です
続けてお読みいただき
感謝いたします。

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 第4章 その1 祭り

 地方の祭りは神社や寺を中心に地域の人々が盛り上げて

永年続けていることが多い。

仁淀川沿いの小さな町の神社はお当家という12年に

一回ずつ廻ってくる地域ごとの当番によってその年の

おもな祭りが執り行われる。


12年というのは干支に例えてあるので同じ干支の時に

巡ってくるのである。

宵祭りには干支の絵のある提灯を各地域の総代さんが

手に提げて 「ちりてっぽう ちりてっぽう」と

太鼓と共に明日の祭りを知らせながら歩く風習もある。


お当家はその地域の取りまとめをする班長さんのようで

祭りの数日前から家の屋根に その印の羽毛というものを

天に向かって立てるのだ。


神様は天上からその印を目印に降りていらっしゃるといわれる。



孝之と しのぶの娘亜実が幼い頃はまだ稚児や乙女が

舞を奉納するという仕来りはなかったが、それから数年後に 

しのぶの弟の嫁正子が伊勢神宮から伝わる奉納舞を学んできて、

地域の子どもたちに伝承してもらうことに力を注いだのだった。

それからの長い年月を親族で支え合い 

地域の人々が支えてくれての祭事であった。



時折にその祭りに帰りたいと東京にいたしのぶたちは願ったが、

孝之が簡単に休めなかったことと、亜実の祖母かねの意向は

意外に厳しいものがあった。


「祭りは地域の人々が頑張ってくれよるし、あんたたちが

帰ってきても私は亜実たちをようもてなさんから、

夏休みにゆっくり帰ってきてよ」と

かねは話した。



しのぶは若い頃から躾にも厳しかったこのかねの

言葉をしっかりと守っていた。


                     つづく



by akageno-ann | 2024-12-01 07:01 | エッセ- | Trackback