ごりやくさん
その8
亜実の弟正之はまだ小学校に入学したばかりで
家族に庇護されながらスポーツが大好きな少年になっていった。
父孝之の期待も大きく 孝之譲りの小柄な体格だが活発で
整列すると一番前ではあったがかけっこも早いし
ボール運動にも長けていて楽しそうにリーダー格になって
休み時間もいつも外に飛び出していた。
休みの日には孝之とよくキャッチボールをし、
父子で巨人戦を愉しんで観戦していた。
まだそれほど少年野球も盛んな頃ではなかったが四年生になった頃に
少し遠方の少年野球クラブに入れた
母のしのぶはそういうクラブの活動は苦手な方であったが
正之のために一生懸命ついていった。
そういう姿を見守りながら姉の亜実は勉学に勤しんでいた
亜実は高校生になっていた。
当時は都立学校は学校群制度があり一番行きたい学校も二校
三校と群になっていて個人個人選べないという不自由さがあった
一番近くて行きたかった34群は応募者が多くて
担任に勧められるままに二校合同の32群を奨められた。
かつての府立第五校女と男子校府立10中が新制高校に
なって富士高校と西高校になり男女比は随分と違って
いたが亜実は女子の多い富士高校に滑り込んだ。
中学校生活が家から近くて楽をしてしまった分遠方の高校通学は
すっかり体力のなさを痛感させられた三年間だった
あげく担任は英語でグレゴリーペックに似ているS教師
なかなか厳しかった
「この学校で予習などしっかりできないような生徒がその日暮らし的な
学習をして教員養成大学に行き、いずれ公立小中学校の教師になって
もらっては日本の教育が発展しない」が持論であったのだ。
それはまさしく亜実のことだと、自戒していた。
つづく
by akageno-ann | 2025-01-31 13:47 | エッセ- | Trackback



