節分 立春

その9
正之は 父孝之と共に毎月1日に近所の氏神様を
参拝するようになっていた。
正之はきちんと手水舎で清めを行い しきたりに則って拝礼し、
その礼が2人ともとても長かった。
亜実は少し引き気味で後ろから軽く会釈するような参拝だった。
1年に一度ゆっくり遊びに来る祖母かねが その姿に感動して
「正之は國學院に行ってくれないかね」と話していた。
野球も好きで才能もあるようだから高校から國學院に
入るといいのに と何となく未来を見据えての
希望だったような気がする。
正之がふるさと高知の神社に帰ると境内で遊ぶのが大好きで、
また宮司である叔父の装束にも憧れているようなところがあった。
「それもまた良いではないか」と父孝之の方の祖父も
ふるさとに帰ってきてくれることを
切望するような気持ちがあった。
かつては「神社の大祭などにはふるさとを出たものは旅行気分で帰ってくるな」
という気風があったのだが、時代を過ぎればふるさとを出て行く者が増えつつあり、
そういう行事にこそ帰省して手伝いをしてほしいという年配者の思いがあった。
祖母かねは、しのぶの長男が神社の存在を大切にしている姿に感謝し、
ずっと関心を寄せてほしいと思っていた。
そのためには私学に通わせるための援助をしようとも考えていたのだった。
つづく
by akageno-ann | 2025-02-02 17:58 | エッセ- | Trackback





