春の雪のあとに




その6
区立のA小学校に着任して 亜実はいきなり五年生担当になった
子どもたちは最初若い教師を喜んだが 保護者たちは新卆教員を
不安がっていた
一学年4クラスの中規模校であったが5年生の担任は
亜実以外はベテラン教諭だった
そのために毎日一人の保護者が観察に来た
「亜実先生のお声は小さくありませんか?お教室を一組と替えていただいては・・・」
とか
「本日の算数の指導方法はわかりにくかったのではないですか?」など
学年主任に訴えたりしていた。
亜実はある意味鈍感力があったのと学年主任はじめ他クラスの
担任教師がまことにどっしりと亜実を支えていた
皆新卆教員を指導する立場の人たちだったのだ
「いやあ亜実先生の声は良く通る声で僕たちの教室にも
聞こえてきますよ」
「音楽の歌唱指導はこちらが習いたいほどですよ」
「算数の指導 良かったらお母さんがやってみては・・・」
など上手に返すので 亜実は心強かった
しかも様々な教師としての心構えを亜実は3人の教師から
教えられ、また可愛がられた
一人、大人気の男子教諭がいて 亜実が気になったのは
他学年の女子教諭から同学年で指導を受けている亜実に
明らかに嫉妬の目を向ける者があった。
亜実はそういうことに取り合いたくはなかったが
「めんどうだな」と思いながらもこれが大人の社会
というものかもしれない、と思うのだった。
とにもかくにもこの頃の亜実は新しい学校という職場に
無我夢中で溶け込もうと必死だった。
つづく
by akageno-ann | 2025-03-09 14:14 | エッセ- | Trackback


