暑さに気を付けてください
その12
亜実の友人Mはフランス人の恋人と一時帰国し
両親と友人に恋人J氏を紹介した。
その唐突さにMの母が狼狽えたのは理解できたがJ氏の物静かで
優しい雰囲気、そして透き通るような目でこちらの拙い英語を
理解しようとしてくれる姿に亜実は心打たれていた。
学生時代、恋愛について疎いのかと思われたMが、
こうした思い切った行動に出たのは 学生として知り合い、
テニス仲間だった彼が 実に根気強くMとの交際を望んだからだと
聞いた。
一度口げんかをしたときも 自分の主張はするが喧嘩をそのままにしたくない、
と彼女の学校帰りを、最寄りのメトロの駅で三時間も待っていてくれたことが
大きかったと吐露した。
そんな話題をMとしたことがなかったので、亜実には彼女の純真な思いが
ひしひしと伝わり、しかも両親に紹介してきちんと国際結婚したい、
という気持ちは支持できた。
2週間ほどの二人の滞在の中でMの両親は、
「もう一度改めて帰国するときまで考えさせてくれ」
との結論を出した。
Mの父は大学の教員で海外からの学生との交流もあったので
次第に親として冷静に考えるようになっていたのだった。
亜実の母も時代は随分と国際的になってきたことを感じていた。
「Mちゃんのお母さんはしっかりした考えを持っていらっしゃるから
このことをないがしろにはされないと思うわ」
と、Mの幸福を祈っているようであった。
つづく
by akageno-ann | 2025-06-22 15:32 | エッセ- | Trackback







