夕方の庭




その3
東京に戻ると学校は三学期を迎えた
公立の小学校だったが6年生担任の亜実はクラスの中の
数人が私立中学校を受験するので、その内申書の作成で忙しかった。
当時の受験は内申書がかなり重視されるようだった。
先輩教諭はなにかと亜実に気を配ってくれて亜実も素直に教えを
受けられる状況にあったので不安なく仕事に没頭できた。
高知で見合いしたS氏も積極的には連絡してこなかった。
そのことが実に有り難いと思えた
亜実には学生時代の友人関係から互いに恋愛相手と
気持ちが変化してきた者があったが、彼はアルバイトの
マスコミ関係の仕事にそのまま残り、まだ教員試験を受けていなかった。
職種が違うことも興味深かったが時間が合わずそのままになっていた。
卒業期に入ってアルバムや卒業文集を熱心に作成している
今の自分にも亜実はやりがいを感じていて忙しいことが楽しかった。
海外に夢を持った弟正之は短期留学中の家族と交流を続け
来春からアルバイトをしながら米国で語学研修を続けることになった。
このことを一番後押ししたのは亜実だった。
高知の母方の叔父の神主という仕事にも興味を持っていた正之だったが
外国語に大いに関心を寄せるようになり、またそのことで日本のことも
もっと知りたいと意欲を持っていた。
そういう純粋さが亜実には眩しかった。
つづく
by akageno-ann | 2025-07-17 18:54 | エッセ- | Trackback


