アサガオたち




その4
卒業期を迎える高学年を担任するとその忙しさは
息つく暇もないほどとはよく言ったもの
若さでなんでもやりますよ、という雰囲気の亜実は新卒一年目の
5年生担任の頃から先輩同僚から重宝がられた。
絵はあまり上手ではないのだが 文字はうまいわけでもないのに
億劫がらずに書く。
学生時代の友人に絵のうまい人がいればすぐに頼む
そういう気安さも必要だった。
6年生を送る会では 音楽専科のI先生が吹奏楽のクラブを
持っていたのでそのクラブに入っている児童たちに
活躍してもらった。
1年生から6年生までの想い出を音楽寸劇に仕立てて台本を書くと
学年主任が喜んでくれて何度もリハーサルをやらせてくれた。
子どもたちも楽しそうに練習を行ってくれた。
良い先輩たちに恵まれて 亜実の功績を讃えてくれるので
そういうことが子どもたちや保護者にも伝わって次第に
信頼感が生まれていったようだった
しかも自分たちがいよいよ卒業学年になると他学年からの
興味関心が強くなりそんなプレッシャーも楽しく
大々的に卒業記念公演を行うことになった。
そんな風に三月までは夢中で過ごしていたので
亜実は結婚など全く意識の中になくなっていたのだった。
そして弟の正之はいよいよアメリカに本格的に旅立つことにしていた。
つづく
by akageno-ann | 2025-07-22 10:56 | エッセ- | Trackback


