なんちゃって*アフタヌーンティ
終章 その6
正之の米国への出発の日が近づいてきた
前途洋々の若者は出発の準備に余念がなかった。
姉の亜実もいろいろと持たせてやりたいものがあり、
邪魔にならないか本人に聞きながら用意してあげていた。
離れて暮らす寂しさはあっても 未来への期待の方が大きくて
「きっと夏には遊びに行くから案内してね」
「待ってるよ姉さん、英語は少し勉強しておいでよ」など
生意気なことを言うようになって亜実はそれも嬉しかった。
毎日のように友人だ スポーツクラブだ バイト仲間だと
送別会を開いてもらって 多忙な3月の末を迎えていた。
誰も何も不必要な心配はしていなかった。
亜実の勤務校にある夕方
「おうちから至急のお電話です」と
校内放送が流れた。
まだ教室で成績処理をしていた亜実は 何も考えずに
職員室に向かった。
保留になっていた受話器をとった
「お待たせしました、どうしたの?」
「亜実ちゃん 至急そこからA医療センターに行ってほしいの」
「え?何があったの?」
「外出していた正之が倒れて 救急搬送されたそうなの」
母の声であったが 比較的落ち着いていた
「わかったわ、お母さんたちも行くのね?」
「そうお父さんとすぐに家を出ます」
すぐに電話は切れて、心配そうに教務主任がそこにいてくれた。
「何かあったのだね、すぐ帰りなさい」と言ってくれたので
とりものも取りあえず亜実はそこからタクシーでA医療センターに向かった。
つづく
by akageno-ann | 2025-08-06 19:55 | エッセ- | Trackback





